2009年7月。
転居して2年が過ぎ、マンションで迎える3度目の夏がやってきた。
最初の頃は、新しい生活への喜びよりも、本当にこれでよかったのか、という不安の方が大きかった。
父と私の今後のためを思って決断したことだけれど、何も今でなくてもよいのでは、というためらいは、転居後も波のように襲ってきた。
その波がある程度治まり、「ここが自分の家なんだ」と実感するようになったのは、引っ越し後1年ほど経ってからだっただろうか。
3年目を迎えたマンションライフ、なかなか快適である。
「管理人さんの仕事は、ほとんどが掃除やで」
知人からそう聞かされていた通り、まさに1日中、管理人さんは巡回を兼ねてあちこち掃除して下さっている。
私の悩みの種だったゴミ当番の仕事も、今は管理人さんの仕事。
管理費を支払っているから当然なのだが、ありがたいなあってつくづく思う。
回収日前日からゴミを出せるのも、マンションならでは。
だけど私は、未だに前日からゴミを出すのに抵抗がある。
ゴミをあさられたらどうする、火事でも起こったらどうする、と、つい思ってしまう。
家の中に階段がない楽な生活にも、すっかり慣れた。
当初の予想通り、運動不足に拍車がかかってはいるけれど。
年間通じて部屋の中が非常に過ごしやすいというのも、うれしい誤算だった。
まず、夏。
7階というやや上層階を選んでしまったので、夏は非常に暑いんじゃないかと覚悟していた。しかし、南側ベランダの幅が比較的広く、かつ夏の間の太陽の位置が高いため、ベランダに面するリビングに直射日光が入らない。
最上階ではないことも大きいだろうが、戸建ての頃より暑さが格段に楽。
逆に冬は、太陽の位置が低くなるため、リビングに日差しが差し込んでくる。
角部屋ではないこと、機密性が優れていることもあり、真冬でも部屋の温度が10度を切ることがない。極度に寒い日はエアコンを入れるが、少し着込めば暖房器具が不要の日も珍しくない。
戸建て生活での必需品だったガスファンヒーターは、全く使わなくなったので、ネットオークションで売却してしまった。
風通しも抜群なので、季候のいい時期は、窓を開けていると、家の中を風が通り抜けていく。
それが、ものすごく気持ちがいい。
水の勢いが弱いというのも、発見だった。湯船のお湯を流す時も、一気には流れない。
よその家の排水音が抑えられているのはこのおかげなのだが、最初は物足りなかった。
今のところは、住人の生活を脅かすような大きな問題も発生しておらず、マンション内は平穏である。
だけど、約束事を守れない、守らない人は、どこへ行っても必ずいるのだなということは、実感している。
そして何より、マンション暮らしするようになってからは、目に見えない手かせ足かせが取れたような気がした。本当に自分の足で歩き、楽に呼吸ができている感じがする。
この土地で接する人は、今の私の姿がスタート。小さい頃の私と比較したり、両親の生き方を私に投影したりということは、全くない。
住む場所を変えるだけで、こんなに気持ちが楽になるなんて、思いもしなかった。
戸建てでの生活は、私にかなりのプレッシャーを与えていたんだな。
悲しくてつらい想定外のできごと。
それは、父が亡くなってしまったこと。
私は、父はまだまだ長生きするものだと思い込んでいた。
父と私の今後のことを考えての移住だったのに、2年も経たずに逝ってしまうなんて。
悲しみにくれながら、マンションへの移住を後悔した時期もあった。
だけど、戸建て生活では到底かなわなかった、家で一緒にご飯を食べることが実現できたので、あまり気に病まないでおこうと、今は思っている。
「マンションの方が安心や」と、何度も父は言ってくれていたし。
「マンションへGO!」計画立案から、もう既に3年以上。
笑ったり、泣いたり、悩んだり、本当にいろいろなことがあったが、順調すぎるほど順調に希望するマンションに移住でき、無事に生活できているのは、私の周りのたくさんの人が、陰に日向に助けてくれたから。
私の大きな選択を支えてくれた皆さん、心からありがとう。
(「マンションへGO!」シリーズ 了)
![]() |
得をするマンションの選び方 ――プロが教える77のポイント (角川oneテーマ21) 碓井 民朗 角川グループパブリッシング 2009-04-10 売り上げランキング : 56501 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
- 2009.07.18 Saturday
- マンションへGO!
- 21:47
- comments(2)
- trackbacks(0)
- by ひー