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  • 2018.10.29 Monday
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父の部屋


昨日、父が暮らしていた施設の部屋の家具類を撤去し、部屋を明け渡してきました。

量は少ないのですが、冷蔵庫やテレビはリサイクル料金が必要ですし、めんどうなので業者に処分を頼みました。
業者が来るのを施設の談話室で待っていると、別フロアで仕事中のあるスタッフが私の所までやってきました。

そのスタッフは、「つねちゃん」という女性。
施設の女性スタッフの中で、父が一番気に入っていたのが彼女。
他の女性スタッフから冷やかされるほど、父にとって彼女は特別な存在でした。

娘の私が嫉妬するくらい、父は彼女のことが大好きでした。
娘のような、孫のような目線で、父は彼女のことを見ていたと思います。

父の居室担当を長く務めて下さっていたのですが、途中からは別フロアでの業務が主となり、私もめったにお会いできなくなりました。
彼女の顔をなかなか見られない日々が続くと、父は私に始終ぼやいていたものです。

「あいつ、ちっとも来てくれよらへん」って。

他のスタッフの名前を忘れることはあっても、父は彼女の名前は絶対忘れませんでした。
外出時のお供、晩酌の相手、日常の話し相手にと、父の施設での生活になくてはならない方でした。
2人でこそこそと、内緒話もしていたみたい。

父の通夜・葬儀の日、彼女は仕事のため参列していただけませんでした。
ですが通夜の晩、仕事帰りに彼女は葬儀場までわざわざ来てくれました。
その時、父宛の手紙を預かりました。

「一緒に棺に入れてほしいんです」

もうそれだけで胸がいっぱいになってしまった私。
彼女からの父への思いが綴られているだろうお手紙を開封したい気持ちを抑えるのに、どれだけ時間がかかったか。

約束通り、翌日の葬儀の最後のお別れ時、棺に収めました。

そんなスペシャルなできごとがあったので、仕事を中断してわざわざ私の所まで挨拶に来て下さった(別のスタッフが、私が来ていることを内線で知らせたみたいです)のが、余計にうれしかった。

ぺこぺこと挨拶を交わしていると、彼女が私に質問してきました。

「あの、お墓はどこにあるんですか?」
「隣市の公園墓地です」
「どのへんですか?」
「あ〜、お墓ばっかりたくさんある所なんで、口では説明しにくいなぁ・・・。え、もしかして・・・?」
「はい、お墓参りに、行きたい、な、って」

父の四十九日は、来月後半です。
本骨と胴骨を分けて骨揚げしているので、本骨は1年ほど仏壇に安置した後、京都の本山へ納骨、胴骨はお墓に納骨するつもりです。

ちなみに、本骨と胴骨、2つの骨つぼを用いるのは、関西独特の風習だそうです。
お寺の本山が近いという理由もあるんでしょうね。

四十九日法要の日程はまだ決めてはいませんが、法要当日に墓地へ行って胴骨を納骨しようということだけは決めています。
彼女にそう伝え、「四十九日、よかったら来て下さいます?」と聞くと、

「行きたいです」


施設にとって、入居者は所詮「お客様」です。ぶっちゃけた話、「金の切れ目が縁の切れ目」です。
それに、スタッフの皆さんは入居者に対し身内のように接して下さいますが、あくまで他人です。身内にはなり得ません。

それなのに、「お客様」という立場を越えて、父のことを心から慕ってくれるスタッフがいたのです。
しかも、つねちゃん以外の他のスタッフ内にも、同じように父のことを慕ってくれていた人が、確実にいます。何人も、います。

父という人は、なんて幸せな人なんだろう。

人生の背景が違っても、性別や年齢差、世代差があろうと、人間同士ってこれだけ優しい関係が築けるんだ。

わがままで、やりたい放題で、言いたい放題の、どうしようもない父でした。
私が子供の頃、母のつらそうな顔を何度見たことか。私は何度泣いたことか。

自分の思うがまま、ハチャメチャな人生を駆け抜けた父ですが、とても寂しい幼少時代を過ごしたと聞いていますので、自分が必要とする人、自分を必要としてくれる人への愛情は、人一倍強かったのかもしれません。

他人と密度の濃い人間関係を築く力を持っている人間が、結局一番強いんだろうな。

亡くなった後、他人から「いい人だったね」という言葉しかもらえないような人は、実は案外おもしろみのない人なのかもしれない。

他人なのに身内だと思えるような、思ってもらえるような人間関係、私のこれからの人生の中で築いていけるだろうか。
私の人間としての底力は、きっとこれから試される。

父はつねちゃんのことを、「血はつながっていなくても大切な身内だ」と思っていたと思います。
彼女にとっての父も、父と同じ気持ちだと信じたいです。

つねちゃん、今まで本当に、ありがとうね。







いま、生きる力 (青春文庫)
いま、生きる力 (青春文庫)
岡本 敏子


JUGEMテーマ:ありがとう


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