本当に私のことを、一途に思ってくれていた母。
父がとほほだったし、私は一人っ子だったので、母の全ては私に向かっていた。

我が家のしっちゃかめっちゃかぶりをよく知っている人が、母にしみじみ言っていたものだ。

「あんた、ようこんなうまいこと、娘を育てたな。普通やったら、不良になってたで」

違う違う。母が私に何を期待しているか、どういう生き方をしてほしいと願っていたか、私は身体で理解していただけ。
母の意向を瞬時に読み、怒られないよう、はみ出さないよう努力してただけ。
シンナーも酒もバイクも怖かったから、不良少女にならなかっただけ。

母の意に反して逆らうと、悲しそうな顔をするか、怒り出すか、どちらか。私の行動など全てお見通しで、常に先回りする。
だから私は、夢中でがむしゃらに行動することがなく、さめていた。子供らしくない子供だった。

結果として、小学生の頃から「どっちでもええ」で済ませていた。自分の本音を母の前ではあまり出さなかった。友達の名前さえ、ほとんど言わなかった。

小学3年生の頃、同級生2人から体中をつねられるというひどいいじめを受けていたけれど、それも自分からは言わなかった。

言ってもどうしようもないと、あきらめていたから。

だけどごくたまに、狂ったように叫ぶことがあった。自分でもどこから出しているのかわからないような声で叫んでいた。
親のあっけにとられた顔が、今でも思い出せる。

今思えば、子供なりにストレスをためてたんだろうな。

そんな私でも、ちょくちょく反抗はした。進路のこと。仕事のこと。恋愛のこと。
でも最後まで、勝てなかった。勝とうとも思わなかったけど。

激しく反抗し、私の意見を通すと、母はよく言ったものだ。
「あんたには私の気持ちなんて、わからへん。あんたも子供産んだら、私の気持ちがようわかるわ」
そして、「離婚してもええから、子供だけは産み」と付け加える。

「子供を産まんかったら、親の気持ちなんてわからへん」と。

社会人になって最初に勤務したのは、システム会社。残業が多い業界である。
でも母は、「事務の仕事に、なんでそんなに残業があるんかわからへん。遊んでるんとちゃうやろな」と言ってた。

言っても詮無いことなので、何も説明しなかった。

一番きつかったのが、システム会社を辞めた後に言われた言葉。
母は病院に勤務していたので、親しく話す医師が何人かいたらしい。

「ええ先生がおるから、あんたに紹介したろかなと思うけど、あかんわ。あんたは傷物やから」

いろいろなことがあって、母は私が「まっさら」ではないということを知っていた。
だけど、20代も半ばにさしかかろうという女子で、「まっさら」をキープしている人は、今時はほとんどいないだろう。
今から20年ほど前だって、少数派だった。

当時受けたショックは、今でも鮮明に覚えている。
きつかったし、悲しかった。「傷物」という言葉が、頭の中にわんわん響いた。

でも母に、怒りをぶつけることはしなかった。詮無いことだったので。

そして母が亡くなり、数年後にはとんでもない事件がきっかけで会社も辞め、自分の気持ちを整理し、前に進むために始めたのが、メルマガ発行だったんだろうと、今になって思う。

あのメルマガ発行は、自分を見つめ直すという、人生初の体験が伴った。
昔の私をよく知る人が、「ものすごく変わった。昔より今の方がずっと話しやすくなった」と口をそろえて言ってくれるようになったのが、ちょうどその頃から。

書くネタがなくなり、尻切れトンボのように発行をやめてしまったけれど、自分自身や両親のことを真剣に見つめ直し、気持ちを整理しながら文章を書いたことが、よい結果を生んだのだろう。

子供はいつか親を乗り越えないといけない。
乗り越え方は人それぞれだろうけれど、そうしないと子供は大人にはなれない。
でもそれがわからない「毒になる親」は、確かに存在する。

でもそれはそれとして、自分で自分のギアチェンジをしないと、自分の人生は歩めない。
決してひとりではできないけど、人間ひとりじゃない。
私もいろいろな人に、助けてもらった。
誰かに助けてもらえれば、どんな詮無いことでも、どうにかできる時もある。

ひとりじゃないから、ひとりで生きていけるのだ。

「毒になる親」を読了して、思ったこと。

 

きみが ぼくたちの こどもとしてでなく ぼくらを見たときに
ひとりのひととして いろんなものを見て いろんなことを識(し)ったのち
ちゃんと きみに みとめてもらえるような
おとうさんと おかあさんに なりたいね

猫十字社「小さなお茶会」より

 

 

 

 

 

 

 

 


小さなお茶会 完全版(1)
小さなお茶会 完全版(1)
猫十字社

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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  • 2020.07.22 Wednesday
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